日々の発見を育む:親子で楽しむ『見る』のマインドフルネス遊び
忙しい日々の中で「見ているようで見ていない」こと、ありませんか?
日々の生活は、目まぐるしく過ぎ去ります。子育てに追われ、家事や仕事に忙殺される中で、私たちは多くのものに目を向けながらも、その一つひとつを「じっくりと見る」機会を失いがちかもしれません。目の前の景色や、お子様の表情、部屋の片隅にある小さなものまで、私たちは本当にそれらを見つめているでしょうか。
このページでは、そんな忙しい毎日の中で、親子で一緒に「見る」という行為に意識を向けるマインドフルネス遊びをご紹介します。視覚を研ぎ澄ますことで、新たな発見が生まれ、心が落ち着き、親子の絆が深まることでしょう。そして、親御さんご自身の心にも、ゆとりと安らぎが訪れるはずです。
「見る」マインドフルネスで得られるもの
マインドフルネスとは、「今、この瞬間に意識を向け、評価をせずにありのままを受け入れること」を意味します。私たちが普段何気なく行っている「見る」という行為に意識的に取り組むことは、このマインドフルネスの実践につながります。
- 集中力の向上: 一点に意識を集中することで、散漫になりがちな心を落ち着かせます。
- 新たな発見と創造性: 普段見過ごしている細部や美しさに気づき、世界の見え方が豊かになります。
- 非評価的な視点: 物事を善悪で判断せず、ただありのままに観察する練習になります。
- 親子の絆の深化: 共通の対象に意識を向け、感じたことを共有する中で、コミュニケーションが活発になります。
- 親自身の心のゆとり: 日常の中に意識的な時間を作ることで、心の疲れを癒し、ストレスを軽減する助けとなるでしょう。
それでは、すぐにでも始められる簡単な「見る」マインドフルネス遊びをいくつかご紹介いたします。
1. じっくり観察ゲーム
身近なものを一つ選び、その全てを観察する遊びです。特別な準備は一切不要で、ご家庭のどこでも実践できます。
遊び方
- 対象を選ぶ: お子様と一緒に、部屋にあるおもちゃ、落ち葉、石、花、または手のひらなど、身近なものを一つ選びます。
- じっくり観察する: 選んだものを、最低1分間、できれば2〜3分間、静かに、そして隅々まで観察します。
- どんな色がありますか? その色は濃いですか、薄いですか?
- どんな形をしていますか? どこかに出っ張りやへこみはありますか?
- 表面はどんな様子ですか? 光沢がありますか、ざらざらしていますか?
- 光はどのように当たっていますか? 影はどこにできていますか?
- 普段は気づかないような、小さな模様や傷はありませんか?
- 感じたことを共有する: 観察が終わったら、お子様と「どんなことに気づいたかな?」「何か新しい発見はあった?」と話し合ってみましょう。
ポイント
- 「これは何の形をしているの?」「どうしてこんな色なの?」といった具体的な問いかけをすることで、お子様の観察を深めることができます。
- 正解や不正解はありません。感じたこと、気づいたことをそのまま受け止めてください。
- もしお子様が途中で飽きてしまったら、無理強いせず、短い時間で切り上げても構いません。
2. 色探し・形探し散歩
いつもの散歩が、新たな発見に満ちたマインドフルネスの時間に変わります。
遊び方
- テーマを決める: 散歩に出かける前に、「今日は赤色のものをたくさん探そう」「丸い形のものを見つけよう」など、一つテーマを決めます。
- ゆっくり歩き、探す: ゆっくりとしたペースで歩きながら、決めたテーマに沿って周囲を注意深く見渡します。
- 見つけたものを指差す: 「あっ、赤いポスト!」「あそこに丸いマンホールがあるよ!」など、見つけたものをお子様と一緒に指差して声に出してみましょう。
- 気づきを深める: なぜそれがその色や形に見えるのか、どんな材質でできているのかなど、簡単な会話を交わすことで、観察をより深いものにできます。
ポイント
- テーマはシンプルにすることで、小さなお子様でも集中しやすくなります。
- ただ目標のものを探すだけでなく、道中の音や匂い、肌で感じる空気など、他の感覚も意識するよう促すことで、総合的なマインドフルネス体験になります。
- 競い合うのではなく、一緒に探すプロセスを楽しむことが大切です。
3. 雲の形探しと心のゆとり
空を見上げることは、心を解放し、思考を穏やかにする効果があります。
遊び方
- 空を見上げる時間を作る: 公園のベンチや自宅の窓から、親子で一緒に空を見上げます。
- 雲を観察する: 流れていく雲の形が、何に見えるかを想像してみましょう。「あの雲は犬の形に見えるね」「こっちはゾウさんみたい」など、自由に言葉にしてみます。
- 変化を楽しむ: 雲の形は刻々と変化します。その変化をただ眺め、思考の自由な流れを許します。
- ただ「ある」ことを感じる: 雲だけでなく、空の色、鳥の姿など、目に映るもの全てをただ「ある」ものとして受け入れ、心を静かに保ちます。
ポイント
- 答えを求めず、自由に想像する時間を大切にしてください。
- 「こうあるべき」という思考から離れ、ただ目の前の光景を受け入れる練習になります。
- お子様がなかなか集中できない場合でも、親御さんがゆったりと空を見上げる姿を見せることで、自然とその空気に触れることができます。
継続することの大切さ
今回ご紹介した「見る」マインドフルネス遊びは、どれもシンプルで、特別な道具も必要ありません。しかし、その効果を実感するためには、毎日少しずつでも良いので、継続して実践することが大切です。完璧を目指す必要はありません。ほんの数分でも、意識的に「見る」時間を作ることから始めてみてください。
日々の忙しさの中で、見過ごされがちな美しさや発見は、きっとたくさんあります。お子様と一緒に、世界を新たな視点で見つめ直すことで、親子の絆はより深まり、親御さん自身の心にも、穏やかな光が差し込むことでしょう。
どうか、あなたとあなたのお子様が、この静かな時間を通して、たくさんの発見と心の安らぎを得られますように。